日本人の数百万人が悩んでいるといわれる便秘は、生活習慣や食事内容、ストレスなど、さまざまな原因が複合的に絡み合って起こります。そのため、市販薬などでは簡単に治まらず、便秘を慢性化させてしまう方も少なくありません。慢性化した便秘は美容に良くないだけでなく、場合によっては深刻な病気の原因になることもあります。
便秘改善への道筋は、しっかりと医師の診断を受けて、ご自分の便秘の原因やタイプを把握することから始まるといえます。そのために、便秘外来では便秘をより多角的かつ専門的に診療してまいります。便秘にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
1 便秘とは
便秘とは、排便がスムーズかつ正常に行われない状態をいいます。何日も排便がないような場合はもちろんのこと、排便が少量ですっきりしないとか、便が硬くて排便時に苦痛がともなうなどの場合も便秘であるとされています。
また、便が大腸に長時間とどまった状態が続くと、大腸内に悪玉菌が増殖したり、本来なら排出されるべき毒素が溜まりこんでしまいます。こうした腸内環境の乱れは口臭や肌トラブル、お腹の張りといったさまざまな症状として現れ、やがては痔や脂質異常症(高脂血症)、腸閉塞、大腸がんなどの重大な疾患の原因となる場合もあるので、便秘の慢性化には注意が必要です。
2 便秘の種類
便秘は「機能性便秘」と「器質性便秘」の2タイプに大きく分けられます。
機能性便秘とは腸の便を押し出す力が過度に弱まったり、逆に過度に強まることで起きるもので、一般的な便秘のほとんどはこのタイプです。一方の器質性便秘は胃や腸、肛門などに生じた疾患が原因となって起きるもので、その原因疾患の治療が必要になります。
それぞれに原因や症状、治療法が異なるので、自己判断で市販の便秘薬などを飲み続けてもなかなか改善しなかったり、症状をさらに悪化させてしまう場合もあることに注意が必要です。
3 便秘の診断・治療
便秘外来での診察では、問診や触診の他、必要に応じて検査を行うことで、便秘の原因やタイプ、さらには別の疾患が隠れていないかなどを確認して診断します。別の疾患が認められなかった場合は、食事内容や排便習慣などのアドバイスとともに、その方の症状に合った種類の薬を時には量を調節したり別の薬と組み合わせるなどして処方し、自然な便通が訪れるようにサポートしていきます。
4 あなたの便秘度チェック
以下の20項目の中から、ご自分に当てはまるものを数えましょう。目安としてお試しください。
- 3日以上便が出ないことがよくある
- 便が決まった時間に出ない
- 便が出にくく、出てもすっきりしない
- 便が硬い
- 便意を我慢することが多い
- 旅行など環境が変わると便が出なくなる
- 便秘薬をよく飲む
- お腹が張った感じがする
- 口臭やおならの臭いが気になる
- ニキビや吹き出物がよくできる
- 手足などがよくむくむ
- 冷え性である
- ストレスが溜まっている
- 運動をほとんどしない
- 座った状態で過ごすことの多い仕事をしている
- 睡眠や食事が不規則である
- 朝食を食べない
- 野菜を食べる機会が少ない
- 水分をあまり摂らない
- ダイエットのために食事を減らしている
- 1項目も当てはまらなかった方
とても健康的です。そのままの生活を続けましょう。 - 1~5項目当てはまった方
大きな問題はなさそうですが、いずれ便秘になる可能性があります。健康的な生活習慣を心がけましょう。 - 6~10項目当てはまった方
便秘になりつつあるか、一時的に便秘になっている可能性があります。一度便秘外来を受診しておくと安心です。 - 11項目以上当てはまった方
慢性的な便秘になっている可能性があります。お早めに便秘外来を受診して、適切な治療を受けることをおすすめします。